脳科学者が警告「一人一台端末導入で、日本の子どもはバカになる」

脳科学者で東北大学加齢医学研究所の所長を務める川島隆太教授が見出しのタイトルで、今の文科省のICT推進施策を批判しているのです。
川島教授は任天堂DSで大ヒットした「脳トレ」シリーズの開発者で、第一線で活躍されている脳科学者です。川島先生の長年にわたる生徒の追跡調査の結果からは、驚きのデータが得られていました。引用すると
「インターネット使用の頻度が高いと、大脳灰白質と小脳内を結ぶ神経線維の発達にも悪影響が出ていることがわかります。これらの結果を踏まえると、デジタル端末利用が学力を下げる理由は、脳そのものの発達を阻害しているからだと言えそうです」
「インターネットを毎日利用する子どもの脳は、3年間ほどんど発達していなかったわけですが、この結果の中には、毎日利用しているといっても、1日たったの10分だった子も含まれています。つまり、インターネットの利用時間の長い子だけで見ると、もっと悲惨な結果が出ると想定できます」
とのことです。インターネットの利用が子どもたちの脳の発達を妨げているという衝撃的な結果なのです。
確かにファミリーコンピューターが家庭に普及しだした1980年代から「ゲーム脳」という言葉が使われるようになりました。ゲームに没頭している子どもたちの脳波を調べると、「考える」「記憶する」「アイデアを出す」「感情をコントロールする」「判断する」「応用する」など最も人間らしい機能をつかさどり、人間にとって重要な働きを担っている「前頭前野」の血流がほぼ失われているという研究結果があるのです。
では、子どもたちの脳を活性化させるにはどうしたらよいのか、という問いに対して川島教授によれば、脳が働くのは「読書をしたとき」「音読したとき」「紙に文字を書いたとき」「人と対面で話したとき」など、文字や言葉を通してコミュニケーションをとったり考えたりする場面だそうです。
しかしICTの導入でそのような活動場面が限りなく失われているのが、今の子どもたちの実態だということなのです。脳が発達する一番大切な時期に必要な刺激が与えられないということは、取り返しがつかなくなることを意味しています。
今回のこの記事から、動画にどっぷりつかって育ってきた今の小中学生の読解力が極端に下がっている現実の裏付けとなることを確信いたしました。
やはり「読む力」「書く力」「試行錯誤する力」を伸ばすことが子どもたちの脳の成長を促す大切な取り組みであることを再認識しました。
目の前にいる子どもたちとしっかり向き合い、日々の活動に取り組んでいこうと思います。
※プレジデントオンラインの記事はこちらから
https://president.jp/articles/-/50026
2021年09月25日 19:26